monologue〜今宵、盗みます〜 シナリオ

Prologue

街の中心に位置する一際大きい屋敷の前、
その正面の門前に二つの人影が佇んでいる。

よく見ると、一人は屋敷を見据えたまま動かず、
もう一人はどこか落ち着かない様子だ。

「親分・・・いい加減、でかい盗みをやるっていうのに
単純に窓から入っていくのはやめましょうよ。」

我慢し切れなかったのか、そわそわしていた方の人影が切り出す。

「いいか?ブリジット、"エレガント"って言葉を知ってるか?
俺の盗みはいつだって"エレガント"だ。
"エレガント"な盗みに"小細工"なんていう言葉はないのだよ。」

そう言って今まで動かなかった人影は、
終にブリジットと呼ばれた人影の方を振り向いた。

月明かりに照らされたその顔は端正とは言わないまでも、
どこか人を惹きつけるもので、何よりその表情は自信に満ち溢れており淀みがなかった。

――この一風変わった男こそ、この物語の主人公であり、
当世一の大怪盗・ジェラールである。

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